マンガばっかり

マンガ批評

ダイヤのA actⅡ

★★★★

寺嶋裕二の人気マンガのactⅡ。
47巻にもなるactⅠを読んでいるからもういいかと思っていたが、どうせなら、ということで読み始めた。
悪くないなと思う。
さすがに高校野球部卒の作者だけあって、なるほどなと思える臨場感。
思えば新設校だったり、女子部員がいたり、金で出場をものにしようとしたり、近年の野球マンガは敢えて王道的な路線から離れながら甲子園を目指す漫画が多かった気もする。
しかし、ここでは19連勝の記録を更新するような野球名門校が舞台で、全国から集まった野球少年たちが「なんとか2軍に上がりたい」などと思いながら合宿所で過ごすようなマンガである。
当然のことながらも、弱小校が甲子園出場を目指すのとは、また別のプレッシャーの中で高校生活を送るわけであり、それはそれでいろいろな苦労もあろう。
そんなあたりが自然にわかるマンガである。
しかし、現代のマンガらしく、根性やら特訓で、必ずしも栄冠をつかめるわけではなく、監督は選手たちとの交換日記(?)に目を通し、コメントを一つ一つにつけながら、メンタルでも鍛えていこうとしていたり…
おそらくそれが今日の野球部なのだろう。
こんな野球部は、おそらく世界中にあまりないような気もするのだが、それはそれとして、地道ながらも、新しい野球マンガを描いているように思う。


しかし、2020年は春のセンバツが流れたのはともかく、夏に向けての地区予選はもちろん、甲子園の本戦もなくなると思う。
もちろん、それは当然のことなのだろうが、野球だけに命を懸けてきた子たちには辛かろう…
プロ入りすることもできないし、プロ野球さえ、今期の開催がゼロとなれば、身売りする球団も出てくるかもしれないな。

(No.1159)