マンガばっかり

マンガ批評

センセイ君主


★★★

幸田もも子による先生と生徒の恋愛もの。
先生と女子高生の恋愛ものというのは、どうも苦手んだんよなぁ(じゃ、読むなよ)。
人目を忍んで愛を培うはずなのに、妙に大胆過ぎ、周囲も気が付かなさすぎ… というものが多く、また、先日読んだ『さくらと先生』では、そういうお約束を崩すかのようなまっとうなマンガで、先生と生徒で思いは通じていながらも卒業まではそれを隠すということが守られていた。
しかし、それはそれで、じゃぁ普通に恋愛話を描いた方がいいんじゃないか、などとも思わせた。
このマンガは、大胆過ぎる方のパターン。
イケメンでドライな東大卒の数学教師に、思いばかりが先行してしまう佐丸あゆは。
全13巻の物語が始まるとすぐに付き合うことになり、そこからは例によって文化祭があり、ライバルやらサブキャラやらが現れる展開なのだが、幸田マンガらしくあゆはがゴルゴになったり、往年の少女マンガの主人公になったりで、けっこう笑わせられた。
13巻末にある作者ページでは「私は最初あゆはと先生が苦手でした」というまさかの告白!
しかし、描いていくにつれどのキャラよりも好きな2人になったとのこと。
たしかにそれは読んでいても実感できた。
ただ頭がいいイケメンと未熟なだけの女子高生だったのが、それなりに自分自身を見つめ、自分が今どうするべきかを考え、それぞれが相手の理想に近づけるように努力を重ね、より高いレベルで卒業(そして結婚)を迎えているからだ。
しかし、それにしたって先生と女子高生ものは… という思いは最後まで消えなかったけどね。

(No.1171)