マンガばっかり

マンガ批評

外見至上主義

★★★★

T.Jun Oarkという韓国人漫画家の作品。
いじめられっ子が、自分が寝ている間にはイケメンになった自分が活動するという一人二役コメディ。
ずいぶん暴力的だな、と思いながら読み始めたが、だんだん、みんな平和主義のいい人になっていっており、もちろんあり得ない世界で起こるギャグマンガではあるのだが、それなりのリアリティをもって迫って来た。
オールカラーで画面もキレイ。
しかし、日本マンガなのか韓国マンガなのか、翻訳も中途半端で、主人公の名前は長谷川蛍介、しかしラッパーの学生は今敏斗(コンビント)、才源高校(としもとこうこう)など、あまり日本的とは思いかねる名前が出てきていて混乱する。
建物や食べ物など、日本とは違った感じになるものもあるだろうが、そういったものは仕方がないにしても、名前くらいどちらかに統一できなかったのだろうか?
たしかに外国人の書いたマンガだと思われると買ってもらいにくいこともあるかもしれないが、それならそっちで徹底すべきだった。
外国のマンガだからこそ読みたいという人もいるだろうが、それならそっちで…
とにかく中途半端というのが、両方を狙っているようで、どちらをもつかみそこなってしまうのではないかと思う!
ただ、中身はとても面白かった。
韓国の漫画家の方が優れているとか、日本の方が優れているとか、そんなことは簡単に言えないと思うが、ほぼ日本人が独占していたマンガ・アニメの世界にそれ以外の国々の人が参入し、かなり質の高いものを作っていることは認めざるを得ず、読者としては面白いものを読むだけではあるが、出版社をはじめとする人々は、過去の栄光や伝統にとらわれることなくマーケットが世界全体であることを意識していかないと、日本人を満足させるコンテンツさえ日本人漫画家やアニメーターでは作れないことになってしまうぞ!
漫画やアニメがガラケーになる日のことを、ちゃんと想像しながら商売をしていくべきだと思います! (たぶんしない気がするけど…)

(No.1181)