マンガばっかり

マンガ批評

ラフ

★★★★

あだち充による水泳マンガ。
実は読破していなかった…
80年代末に週刊サンデーに連載されていたものだが、スマホやパソコンを使っている人がどこにもいないのが不思議に思われるくらいで特に古さは感じない。
パンチラ、覗きといったセクハラや、殴り合いのケンカということが日常になっているあたりも、「時代」を感じさせはするものの、この人の絵は超時代的なので長持ちするようです。
敵対する和菓子屋の娘と息子同士が、同じ高校の水泳の選手として、さまざまな偶然や事件によって、いつしか惹かれ合い始め、ついについに結ばれるというもの。
ライバルや応援者、事故、偶然が、読んでいて過剰じゃないくらいに登場し、そりゃ亜美と圭介は、そうなるよな、と思えるラストとなっていて、「いつもとおなじ・あだち充」という一般のあだち充評には頷きながらも、でも、それだけじゃないよ、という凄みも改めて感じることができた。
ことにパンチラも、新キャラも登場せず、主人公同士のやり取りが密接になっていく後半のまとめ方は凄いと思う。
これで他のタイプの作品を描いたら、いったいどんなことになるんだろう、と思うのだが、他のタイプの作品というのを全く描かないし、描けないのがあだち充だったりする!
すごいな、いろいろな意味で…

(No.1212)