マンガばっかり

マンガ批評

I''s

★★

桂正和が「ジャンプ」に1997-2000まで連載していたラブコメ
とても評価が高いので、今さらながらに読んでみたのだが、いろいろな意味で考えさせられるマンガであった。
主人公の伊織ちゃんは可愛い。
しかし、だんだん物語が進むと、可愛さが衰えてくる(カバーの絵も、巻が進むにつれて、だんだんかわいくなくなってくるのは何故なんだ?)。
途中から出てくる伊織とそっくりの麻生さんの方が、どうしたってイチタカには合っているし、イチタカ自身、伊織のことが好きなのは「昔から好きだったから」というしか説明ができなくなってしまっている(ようにしか思えなかった)。
純粋でカワイイ伊織を、そのままでいさせればいいのに、変にエロ直前のことまで描いてしまっているので、イチタカの周りに出てくるインラン女子たちと同じレベルにまで失墜させてしまっているのだと思う。
可愛いという以外に、特に人を惹きつける力をもっていない伊織なので(演劇の力については描かれていない)、もっと高根の花、孤高の存在として光り輝かせておけばよかったのに、作者自らでその聖性を剥奪してしまっているのだ!
もったいない!
なので、伊織と顔がそっくりだという麻生さんが出てきてしまったら、もうほとんど伊織の存在意義などなくなってしまうのは当然だろう。
バタバタとエンディングになるが、実際は打ち切りだったんじゃないだろうか?
桂正和という人は、絵はうまいけれど、ストーリーがうまくないと思っていたのだが、その欠点が露骨に現われてしまったマンガだったのだと思う。
まぁ、それでも激賞する人が多い訳なので、横から口をはさんでも仕方がないのだけれどね。

(No.1223)