マンガばっかり

マンガ批評

三拍子の娘

★★★★★

町田メロメによるマンガ。
『このマンガがすごい2022』に載っていたので買ったのだと思うが、登場するのは28、22、18という折原家の三人娘が主人公。
母は亡くなり、その直後に父は娘たちを捨てて放浪の旅へ。
どういう波乱万丈の、スリルとサスペンスのマンガになるかというと、ほとんどそういう剣呑な気配がなく進んでいくところが恐ろしい。
新幹線に乗っていつもよりいいビールを買って、一人でサンドイッチを食べたら「この世界は私のもの」と思うのはわかるな、と思うし、家の中にいるハエトリグモは、さまざまな虫を食べてくれる益虫なので、私も名前こそ付けてはいないが大事にしていたりする…
こういう悲しみや喜びを紡ぎながら、私たちは生きていたんだよなぁということに気付かされる大傑作だったと思う。

(No.1321)