マンガばっかり

マンガ批評

異国の花守


★★★★
波津彬子による金沢を舞台にした連作漫画。
90年代末にプチフラワーに掲載されていたという。
ギトギトしたところがなく、ストーリーやディテイルにも無理のない佳作だと思う。
が、「無理がない」のはよいとしても、それぞれの登場人物たちが、登場した段階で、どんな人物で、今後どんなストーリーになるのかを予測させてしまい、それがまたほとんどそのとおりに当ってしまうというのはストーリー・テリングの方法としては問題なのではないかと思った。
さらに「椿の精」の夢がおりおりに挿まれ、もちろんそれを真に受けてはいないにしても、その夢のお告げの通りにストーリーが展開されてしまとなると、なおさら予定調和の印象が強くなってしまっているように思う。
リアルに徹するか、幻想に徹するか、いずれかの道を選んで欲しかったように思う(もちろん、この「両方あり」というのが、このマンガのウリであろうし、ファンたちが惹かれるところでもあるのだろうけれど…)。