マンガばっかり

マンガ批評

True Tears


★★★★
西村純二・監督、アニメーション制作P.A.WORKSによるアニメ。
たいした理由もないのに3人の女性に好かれてしまう眞一郎という人物は、きわめてギャルゲ的だなぁとは思うものの、都合がいいなと思ったのはむしろラスト。
「好きだ」と告白したはずの女性は、「心の底には別の人がいる」とあっさりと身を引いてくれるし、こんなややこしい男を独り暮らしのアパート自室に引き込んだり、浜辺でいきなりキスをしてくれたりしてくれるという存在も、ネ申というべきなんでしょうね…
あぁ、しかし優等生でおとなしくて、でもバスケット部所属で、大胆に誘いをかけてくれたり、恋敵に宣戦布告したりもする比呂美という子は、ほんと少年たちの夢というかネ申としか言いようのない存在だなぁ。
あ、好きですよ、3人の中で一番、それはそうなんだけれど…
しかし、腑に落ちないのは眞一郎の母が、なぜデマカセを言ってまで比呂美(例の神です)をイジメたのか、である。
比呂美の母の写真をくり抜いて捨てるほどにキライだったから、というのはあるかもしれない。
しかし自分の夫との不倫で生まれたなんていうデマをなぜ告げる必要があったのだろうか。
「アンタの母親には虫唾が走る!」と言えば、それで済むはずなのに、なぜ「アンタの母親とウチの夫の不倫で生まれたのがアンタだ」なんて言う必要があったのか?
必要はあった。
比呂美と眞一郎が兄妹の関係になってしまって、恋愛が成就できなくなるためだ。
そう、要するに物語的な要請でそうさせているわけなのだが、もう少しマトモな理由があるのではないかと気になりながら見ていたが、結局はそれだけのことであったようで、後半になるとなんだかいい叔母さんになってしまっていたりして、まったく奇妙なことこの上ない。
納得ができないといえば、電波系の乃絵の言動など、わからないことだらけなのだが、そうした異次元の存在ではなく、最もリアルでなければいけない主人公の設定に関する部分でこうした不安定な部分があるのはどうもなぁ、と思った。