マンガばっかり

マンガ批評

零れるよるに


★★★★

有賀リエによる少女マンガ。
少女マンガらしい「高校生恋愛もの」… というように表紙からは思えるが、主人公のよる、そして天雀は10歳の時から児童養護施設で共に育っている。
いかにも普通の高校生が、文化祭やら修学旅行やら体育大会を経験しながらガールミーツボーイをしているだけでは少女マンガにも、なかなか先は見えない。
そんな中での変化球的なものなのかもしれないが、取材も下準備もしているようで、しっかり現実感を持って描いているように思われる(実際がどうなのかは不勉強で分からないのだが)。
これまでに『パーフェクトワールド』という12巻ものの作品を描きあげ、映画化もされて人気だったようだが、こちらは車椅子に乗った青年との恋愛を描いているようだ。
この国の政治や経済、文化などを見ていると、相変わらずの「強いものが強い」であって、げんなりさせられるが、人々の意識は多様性についても考え始めるようになっているようで、その動きの底の部分ではこうしたマンガが読者を獲得していること、またドラマ「silent」のヒットなども影響しているようで、やはり文化の力というものも侮れないような気がする。
そんな中で、近年の芸能界で話題になったジャニーズ、宝塚歌劇、吉本… これが今後どのようになっていくか、注目していきたい。

(No.1384)