マンガばっかり

マンガ批評

平和の国の島﨑へ

★★★

濱田轟夫・瀬下猛による人気マンガ。
中東のテロ組織、ネットで呼びかけられた若者たちによる強盗事件、そんな現代的なアブナイ状況の中で、孤児として生き延びさせられた島﨑が平和の国・日本で暮らしていくという話。
おりおりに西アジアの食事などを持ってきているあたりは『ゴールデンカムイ』を狙っている気もするが、それはまぁ、いいにしても、今日、ハマスVSシオニズムの攻防を見せられている者としては、ただエンタメのために消費していいのかな、という気もする。
まぁエンタメはエンタメで、堂々とやってけばいいのだけどね、しかし、それにしても島﨑を「狙う」という国際テロ組織LELが、いったい何のために、なぜ、多くの犠牲を出しながらも日本で島﨑を殺さなくてはならないのかが全く理解できない。
そんなもんは枝葉であって、とにかくハデにドンパチしたら盛り上がるんだ、と、言えば言えるのかもしれないが、だったら死ね死ね団のような悪の秘密結社が、あまり深い理由もなく日本人抹殺のために暗躍するのと変わらない気がする。
とても最強の男なんかに見えな~い、というようなギャップ萌えだけで読者をつなごうとするのも無理だと思うし…
そもそも死ぬとか殺すとかっていうのは、ほんとにものすごく重いことなのに、そのことを意識もしないようなバトルものってどうなんだろう、と思えてならない。

(No.1383)