マンガばっかり

マンガ批評

川尻こだまのただれた生活

★★★★★

川尻こだま、のTwitterマンガがKindleに無料公開されたもの。
何の気なしに始めたTwitter漫画がいつしかブレイクし、ついにアニメ化!
全5巻を読んだが、何度か声を出して笑ってしまった。
うん、たしかにしょっぺえものは好きだけど、甘いものも好きだよな。
そして酒もあったら飲むよな。
あぁ、ちょっと仮眠しよう、と思って、気づいたら8時間寝てることもあるし、あぁ、今日はシンドイことあったなと思って早めに寝ることがあるけれど、シンドイことなくても早めに寝ることあるし…
カロリー30%オフのチョコがあったら、「やったぁ、4こ食べたら120%オフ!」と、そんなことあるわけないだろと思いながら、でも、3個くらいなら大丈夫だろ、と思って食べることはあるな。
…という、ものすごくただれて捕まったり死んだりするようなネタは一つもないのだが、人前で言うほどに面白くはないのに、改めて目の前にさらされてしまうと面白いとしか言いようのないようなネタをたくさん披露していて、うん、いい漫画だな、と思うわけである。

(No.1285)

東京ヒゴロ

★★★

松本大洋が現在、連載中の漫画家漫画。
必ずしも好きな漫画家ではないのだが「このマンガがすごい! 2022」オトコ編5位ということもあって読んでみた。
マンガ編集者の塩澤は担当していた雑誌がうまくいかなかったことから雑誌社をやめ、これまでに担当していた曲者の漫画家たちを尋ね、もう一度マンガを描いてもらおうとする話… のようだ。
まだ1巻だけなのだが、一人暮らしの塩澤さんが文鳥と会話するというファンタジー
まぁ、それはいいのだが、塩澤さんを慕う漫画家も多く、塩澤さんのマンガに対する愛、マンガ家の実力を見抜く目… そのあたりが、どうにもファンタジーすぎて、傑作の多い漫画家漫画にしては、ちょっと甘々すぎる気がする。
近年ヒットした漫画家漫画に『重版出来』や『バクマン。』があるのだが、それらの方が夢を追いかけながらも、もっとリアルだったりシビアだったりする側面があった気がする。

(No.1284)

うるわしの宵の月

★★★★

やまもり三香が現在連載しているマンガ。
描くマンガ、描くマンガが当たっている作家だ。
カバーはイケメン男子二人のアップ。
「ともに王子」と呼ばれる存在が惹かれあう話のようだが、あぁBLね、と思ったところが、イケメンのうちの一人は女子!
顔の美しさに惚れた、いつまでも見ていたい、いつも独占したいという究極のルッキズム男が、もう一人のイケメンであった。
このイケメンが、また、なぜか金持ちで、なんでもできないことはない、しかも、なぜか一人暮らしをしているという、その辺が、この手の少女漫画ではデフォルトなのだが、まぁ、それにしても新しい趣向ではある。
「自分に声をかけてくる奴は、みんな顔を見て言ってるだけ」と、かつて或る美少女が、或る意味でひどく自信過剰にも聞こえるようなことを呟きながら嘆いていたが、まぁ、それはそれで不満でもあろうし、特に顔というのは自分の努力によるものではないので不安にもなるだろうが、本当に顔面が好き、というのは、ある意味で内面が好きよりもホンモノであることもあるかもしれない。
でもまぁ、40代、50代になってもそれを維持しつづけることは困難なわけで、そういう意味で人は内面を評価されたがるのか?!

(No.1283)

 

明日、私は誰かのカノジョ

★★★★★

をのひなお、の人気コミック。
レンタル彼女の話、というと、どこかで聞いたような気もするが、状況に似通ったところはあるが、もう少しラブコメ色が薄く、もっとウシジマ君に近い。
どのくらいにリアルなのか、リアルに見せかけた風俗情報の切り貼りなのかは判断できないが、孤独と虚勢の間をさまよう現代の若者を描いたマンガにはなっていると思う。
あ、いや、必ずしも若者とは言えない登場人物もいたが、そこも含めて現代的であったと思う。

(No.1282)

海が走るエンドロール

★★★★

たらちねジョン、によるマンガ。
夫を亡くした65歳の女性が美術大学映像学科に入学し、在学している若い男子学生と共感しあいながら映画を作る話。
このマンガがすごい! 2022」オンナ編のトップに輝いた作品だが、ちょっとご都合主義かなぁ、という気が否めなかった。
マンガは自由であっていいし、多少のご都合主義も、理想主義も否定してしまっては先に進めないのだけれど、それにしても高齢女性の生き方をある意味でリアルに描いているだけに、目についてしまった。
しかし、まぁ、それは些細な問題だと思う。
世の中が、もっともっと活発に、目に立つところに出るのを憚っている人は、もっともっと出てきて、この妙に委縮した日本をひっくりかえしてほしい!

(No.1281)

ダンダダン

★★★★★

龍幸伸のマンガ。
幽霊は信じるが宇宙人を信じないギャルと宇宙人を信じるが幽霊を信じない少年・オカルンのラブコメ風妖怪撲滅コメディ。
ブコメも王道ものも、さまざまなテンプレに溢れており、それをちょっといじるくらいでは、なかなか斬新なマンガなどは生まれない。
しかし、子どもが自分でお小遣いを出してまで買いたくなるものこそマンガなので、高級すぎてお高く留まっていても自己陶酔にしかならない。
そんな中をめちゃめちゃに走り回り、ちょっとお涙頂戴があったかと思うと、ギャグがあり、裏返って裏返って王道ものバトルになる… というこのコンセプト、この動きは悪くない。
2巻まで読んだところだが、このままの勢いで、どこまでもっていけるのかはわからないが期待したい!

(No.1280)

のんのんばあ物語

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★★★

水木しげるの代表作である『のんのんばあとオレ』の、いわば外伝。
ちくま文庫版を読んだが、やはりおもしろいなと思う。
それはバカバカしくておもしろいのだ。
たとえば『桃太郎』ならば、鬼が島に鬼退治に行ったら、やっぱり鬼をやっつけて、無事に凱旋してこないといけないし、近年では、そういうテーマや構成もしっかりしたのがマンガだということになっている。
しかし、子どもというのはテーマだとか、そんなことは割とどうでもよく、その時々が面白ければいいのだ。
正義の味方の話であっても、おもしろければ泥棒になってもいいし、恋愛譚になってもいい!
宮崎駿の「千と千尋」などはその好例だろう(脱線していても、特に面白さが感じられなかったのがハウルである気がする)。
水木マンガも、全然予定調和ではなく、というか、勝手気まま。
江戸川乱歩の少年ものも、そういう辻褄合わせ立ったりインチキの目茶苦茶さがあるが、そこがまた面白かったりもした。
こういうバカらしいマンガ、そしておもしろいヤツというのが、最近ないなぁ、と思う。

(No.1279)