マンガばっかり

マンガ批評

喰う寝るふたり住むふたり

【中古】喰う寝るふたり 住むふたり コミック 全5巻完結セット (ゼノンコミックス)(コミック) 全巻セット

★★★★★

日暮キノコのマンガ。
星を5つも付けてしまったけれど、そういう評価はおそらく登場人物も作者も喜ばないんじゃないかと思う。
おおそれたヒーローでもヒロインでもないし、このように生きろでも生きるなでもないし、そういうことを言いたいのになんだよ5つ星って… というようなマンガ。
付き合って10年、同棲生活8年目という2人が、ついに結婚するという話。
5巻完結というのが、ちょうどいいタイミングだと思うし、同じエピソードを女性視点、男性視点でたどり直すのも、なるほどなと思えていいと思う。
しかしさ、こういうカップルが、もし何かのきっかけでわかれたりすると、男は、まぁ、酸いも甘いも嚙み分ける人間として評価されたりするのだけれど、女はそうはいかないんだよね…
そういう意味では、同棲生活の明るさばかりが強調される危険な本だ、ということになるのかもしれないが、それはまぁ、別問題ということで。

(No.1225)

プラネテス

★★★★

幸村誠による2070年代の宇宙時代を描いたマンガ。
人類は資源を求めて宇宙に旅だち、宇宙開発反対派がいたり、あいかわらず地球上の国々は対立もしているが、宇宙空間に漂うゴミ(デブリ)を回収する人々を中心に描く。
1999年から不定期でモーニングに連載され、読んだのはNHKのBSでアニメ化されたらしく、マンガは全4巻なのにアニメでは全26話もあり、それなりのファンもいたのだろう。
星雲賞をマンガとアニメがそれぞれに受けてもいたようだ。
2070年代にしては自動車や家の様子など、ずいぶん親しみやすいようにも感じたが、奏した部分を除けば、まぁ、2070年代でもこんな感じなのだろうなぁという風に読むことができた。
一話完結で、どれもよくできた上質な、大人のマンガになっていたように思うが、それだけにさまざまな人物のエピソードを語っているためにググっと熱いものがこみ上げて来る感じの読後感に乏しく、けっこう自分もジャンプ的なものを漫画に求めているのだろうか、などとも思わされた。

(No.1224)

I''s

★★

桂正和が「ジャンプ」に1997-2000まで連載していたラブコメ
とても評価が高いので、今さらながらに読んでみたのだが、いろいろな意味で考えさせられるマンガであった。
主人公の伊織ちゃんは可愛い。
しかし、だんだん物語が進むと、可愛さが衰えてくる(カバーの絵も、巻が進むにつれて、だんだんかわいくなくなってくるのは何故なんだ?)。
途中から出てくる伊織とそっくりの麻生さんの方が、どうしたってイチタカには合っているし、イチタカ自身、伊織のことが好きなのは「昔から好きだったから」というしか説明ができなくなってしまっている(ようにしか思えなかった)。
純粋でカワイイ伊織を、そのままでいさせればいいのに、変にエロ直前のことまで描いてしまっているので、イチタカの周りに出てくるインラン女子たちと同じレベルにまで失墜させてしまっているのだと思う。
可愛いという以外に、特に人を惹きつける力をもっていない伊織なので(演劇の力については描かれていない)、もっと高根の花、孤高の存在として光り輝かせておけばよかったのに、作者自らでその聖性を剥奪してしまっているのだ!
もったいない!
なので、伊織と顔がそっくりだという麻生さんが出てきてしまったら、もうほとんど伊織の存在意義などなくなってしまうのは当然だろう。
バタバタとエンディングになるが、実際は打ち切りだったんじゃないだろうか?
桂正和という人は、絵はうまいけれど、ストーリーがうまくないと思っていたのだが、その欠点が露骨に現われてしまったマンガだったのだと思う。
まぁ、それでも激賞する人が多い訳なので、横から口をはさんでも仕方がないのだけれどね。

(No.1223)

EDEN

★★★★

遠藤浩輝による近未来SF。
コロナウィルス下に読むべきマンガかなと思って読んでみた。
90年代からの連載だが、AIのことなど、うまく描けているなぁと思う。
作品世界は100年ほどあとの時代のようだが、交通手段やパソコンはもっと進化しているし、もっと必要不可欠のものになっているんじゃないかなとも思ったけれど…
また人間を殺し過ぎだし、殺され過ぎだなというのも違和感があり、また、その際にも(エンターテイメントの要素なのかとは思うが)いわゆる個人的な武術や戦闘術に頼り過ぎており、それこそ100年後ならば、わざわざ人間など派遣しなくても、超小型ドローンにAIに覚えさせた人間の特徴をインプットしてやれば、ほぼ100%相手を殺すことはできると思うので、そのあたりも少し萎える感じではあった。
ただ、ウィルスが人間を一つにまとめていくという発想(妄想)は、SF的想像力としては非常に驚きであり、そしてもしかしてもしかするとそうなのかもしれないという可能性も残しているところからリアルじゃないけれどものすごくリアルであり、『幼年期の終わり』にも匹敵するほどのとんでもリアルな世界観だなと思った。
この怖さ、でも、或る意味で救いかもしれないというウィルスの在り方というのは、もっと世界的に流行ってもいい、凄い想像力であったと思う!

(No.1222)

てだれもんら

 

★★★

中野シズカによるBL(?)。
庭師と板前、庭師はなんだか物の気退治もしているような… というマンガ。
帯には『メタモルフォーゼの縁側』の鶴谷香央理の「この作品で萌え死ぬならば本望です」という紹介があったが、さもありなん、という内容。
腐の方々は、こういう職人とか大好きだけれど、1巻を読む限りでは、腐男子ではなくても読める感じ。

(No.1221)

フイチン再見!

★★★★

村上もとか、による日本の女性漫画家のはしりとも言うべき上田としこの伝記的マンガ。
代表作である『フイチンさん』も実は読んだことがないのだが、満州での少女時代と日本での戦前・戦中の青春時代など、楽しく読むことができた。
全10巻のうち、最後の方になると、さすがにエンタメ的要素よりも、あの人に会った、この人に会ったという有名漫画家や文化人との交流を書くだけで失速している感じは否めなかったし、若い世代には水野英子がスゴイとか、牧美也子が… と言っても、全く通じないと思うので、そのあたりはさらっと流しておいた方がよかったのかなという気がした。
しかし満州に住む中国人少女のマンガがこれだけ愛されていたのだということは、記憶されてもいいことではないかなと思う。

(No.1220)

竹光侍

★★★★

松本大洋(原作・永福一成)による歴史もの。
鉄コン筋クリート』や『ピンポン』などの人気マンガの作者だが、実はこの人のマンガがいいと思ったことはない…
ただ、これは悪くないなと思う。
この人のマンガが好きになれなかったのは、「どうだ、〇〇してやったぜ!」という狙った感じが、どうにも鼻につくからだ。
もちろん、この『竹光侍』だって、狙わなければとてもできるようなものではない。
しかし、これはもう全身全霊をかけて狙っている感じがあり、しかもそれが空回りしていない気がする。
線は極端に単純化しながら、江戸の街の様子はきちっと描こうという初心に帰っての挑戦は、なかなかできるものではないと思う。
は、それって、つまりアートということか!
原作者は特に歴史ものを専門とする人ではなく、松本のアシスタントを務めたこともあるという人らしく、それにしてはとてもしっくりくる感じであった。
それよりも、今、wikipediaを見て驚いたのは松本大洋工藤直子の息子だったこと!
まぁ、今ごろ言うかよ、ということなのかもしれないけれど。

(No.1219)