マンガばっかり

マンガ批評

偽装不倫

★★★★★

東村アキコが日韓に同時連載していたWEBコミックの単行本。
すでにWEBで一部を読んでいたが、多作のわりに悪くない。
みんな同じだ、と言えばそうなのだけれど、そのビミョウな使い分け、調整がうまいので、飽きないし、いつもおもしろい。
既婚者の姉は年下と不倫中、本人は姉の結婚指輪を付けて既婚者だと見栄をはり、そのために偽装して不倫するという、馬鹿っぽいけれど、なくはないな、と思わせる。
リアルとコメディの混ぜ方も上手い。
宮沢賢治を使っているあたりも、コメディアに流れ過ぎず、またリアルやらマジメに流れ過ぎないという意味でもうまい。
後半になって、ちょっと予定調和になっている気はするけれども、まぁ、いいと思う。

(No.1194)

死人の声をきくがよい

★★★★

ひよどり祥子による怪奇マンガ。
薦められて読んだのだが、こんなに怪奇事件ばかりが起こって、クラスメートが次々に死ぬような学校、あるわけない… と思って、それでも家に読むべきマンガもないので読み続けていると、だんだんおもしろくなってきた。
ぼんやりしながら霊感が強い岸田純。
純の幼馴染だったが、今は幽霊として純の周りに現れるだけの美少女・早川さん。
オカルト研究会の式野部長、美人ならだれでもいい小泉、ダークアイドルの魔子… というように、いわばのび太ドラえもんが霊界でドタバタするような漫画なのだ。
全く怖くない。
ストーリーとストーリーの間で、早川さんがレジ打ちをしていたり、本を読んでいたりするイラストが入っているのだが、それがとてもかわいい。
そういうまさかのあたりが、なかなかセンスがあって面白いので、この人、いい漫画家だなぁ、と思う!

(No.1193)

魔法少女かずみ☆マギカ

★★★

平松正樹・天杉貴志によるまどマギのスピンオフ作品。
よくできていると思うし、「まど☆マギ」のスピリットをうまく受け継ぎながらも、決してそれだけに頼らず、独立した物語として完結できているのはいいと思う。
しかし、私には絵、というよりも、原案はともかくとして、それを絵にしていくのがうまくないように思えて仕方がない。
戦いのシーンが、「まど☆マギ」を意識してなのか、おどろおどろしいのだが、それがアニメではなく絵となると、わかりにくいだけ。
切れたり、歪んだり… というのも、変にグロテスクなだけで、情感やリアリティを感じにくく、あるところでは時間(コマ)が、早く進みすぎたり、遅すぎたり、また、説明不足やら、あるいは文字での説明過多だったりで、それもよろしくない。
登場人物の表情も陰影に乏しい…
アニメだど音楽や声優の演技で助けられていたところが、絵だけで太刀打ちするのに上手くいっていないような気がした。

(No.1192)

荒ぶる季節の乙女どもよ。

★★★

鈴木奈央のマンガ。
性に対する興味と恐怖で煮詰まっている女子だけのサークルである文芸部に、恋愛の風が吹き込んでさまざまな事件が起こるというストーリー。
原作は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」の原作者である岡田麿里
病的なまでに何かを抱え込んで、傍から見ると意味不明な行動に走ってしまう人物が登場し、そうした心情を追いかけることから出てくるドラマ…
たしかに「あの花」のような感じがあるし、現代はこういうたぐいのドラマがウケるよなぁ、とも思いながら読む。
ドラマとしての勢いや魅力はあると思うが、人間ではないよな、と思う。
おもしろいだけで何がいけないんだ、と言われそうだが、まぁ、そうだよね。
2回は読まないけれども、1回は読む。
それで一体何が不足なのか、と言われれば、返す言葉はないのだけれど…

(No.1191)

メジロバナの咲く

★★★★

中村明日美子による「初の長編ガールズラブ」。
イギリスの女子パブリックスクールが舞台で、2年生の美女・ステフと1年生のルビーと、その周辺の人々で繰り広げられるマンガ。
1巻を読んだだけでは全体に渡るコメントはとてもできそうにないが、寄宿舎の様子など、ひじょうにそれっぽい。
実際は違うのかもしれないが、そういうのはどうでもいい。
行ったこともないふしぎの国の物語でも「それっぽい」と感じられればそれでよいのだと思う。
イギリスの寄宿舎を描きたいのであれば間違いは許されないが、このマンガのテーマは若い女性2人の人間関係なのだから…

(No.1190)