マンガばっかり

マンガ批評

未分類

死化粧師

★★★★★三原ミツカズ(女性です)のマンガ。土葬の多い欧米では、エンバーミングと言って、遺体の消毒や保存処理を施したり、遺体の修復したりする技術が発達しているが、それをメインに据えた物語。長いこと借りっぱなしになっていた本で、それでも少しずつ読…

テニスの王子様

★★許斐剛の人気マンガ、テニプリである。現在36巻まで出ているらしい。アマゾンによると36巻の評価は★が2つ半という微妙なものになっているが、まぁ、そんなものだろう。「最初はマトモだった」ともよく言われているが、最初の方を読んでみたけれど36巻に関…

軽井沢シンドロームSPROUT

★★★★たがみよしひさが80年代に「ビッグコミック・スピリッツ」に連載していた『軽井沢シンドローム』の続編。たいていの続編というのは同じすぎて、あるいは違いすぎて違和感を感じたりするのだが、この続編は、違和感は違和感で残りはするものの、「それ…

吉祥天女

★★★★★吉田秋生の中編漫画。いくら美人だからといって、男という男がみなその色香に迷って“実力行使”になど出るわけがない。どんなに乱暴な人間でも、また、そのバックにどれだけの権力や財力があったからといって、無茶苦茶に腹が立ったからといって、相手を…

ルードウィヒ・B

★★★★手塚治虫の絶筆(のうちの一つ)。長らく書棚に置いたままであったが手にとって読んでみたら、とてもおもしろかった。キャラクターの造型や絵柄など、いかにも手塚治虫ではあるのだが、音楽をいかにしてマンガに取り組むか… ということに執念を燃やして…

医龍

★★★★乃木坂太郎が永井明の原案によって書いた医学マンガ。基本的にエンターテイメントではあるとしても、「ブラックジャックによろしく」よりはだいぶリアルになっていると思う。天才外科医と言っても、心臓外科の人は、脳だとか消化器だとかは基本的に得意…

ジャングル大帝

★★★★★手塚治虫の代表作。動物達がジャングルで楽しく暮らすアニメ「ジャングル大帝」ばかりを想像していると、似ても似つかぬストーリーに愕然とさせられる。アニメを見ながら、どうして肉食のライオンが動物達の王になれるんだろう、と素朴に思っていたが、…

ゴッドファザーの息子

★★★★手塚治虫の短編集。ゴッドファーザーというタイトルから、いわゆる外国マフィアものだとずっと思っていたが、日本のゴッドファーザー、つまりヤクザの息子と手塚の交流を描いた物語がメイン。もちろんほとんどが虚構なのだろうが、あぁいう時代だったの…

漫画大学

★★★手塚治虫によるマンガ講座。と、思いきや、漫画の書き方を教えてくれるのかと思うと、講義自体が中途半端で、例ばかりが長く、とても漫画なんか描けそうにない!しかし、トキワ荘の紅一点である水野英子にとってこれはバイブルであったらしい。これは誇張…

ハトよ天まで

★★手塚治虫が新聞に連載した絵物語。とにかく長かった…新聞連載なので、細かい対決シーンなども、読んでいる方としてはあまり退屈さを感じなかったのかもしれないが、半分でいいんじゃないかという内容であった。民話的とはいうけれど、それほど民話的だとも…

海のトリトン

★★★★★手塚治虫の海洋マンガ。アニメが有名だったので、子供向けのマンガだろうとたかをくくりながら読んだ。しかし、『サンケイ新聞』に掲載ということからもわかるとおり、子供をメインにしながら、ハイティーンや大人の鑑賞にも堪えうるものというのが使命…

ブッダ

★★★★手塚治虫の大長編。実際がどのようであったのか、学界ではどのようにされているのか、詳らかにはしないのだが、物語としては面白く読めた。これを読んで仏教に入信するという人はたぶんいないだろうが、宗教っていうのはすごいなとは思ってもらえるはず…

リボンの騎士

★★★★手塚治虫による元祖・少女マンガ。こういう話だったのか、と改めた思った。文庫本の解説で津島佑子も書いていたが、サファイアにおける男女はあまりにも露骨に二分化されすぎている気はする。しかし、女であることをめぐる社会的、存在論的、生物学的… …

江戸むらさき特急

★★★★ほりのぶゆきの読み切り時代劇マンガ。ビッグコミックスピリッツに連載されていた時代劇おばかマンガ。電車に乗っているときに読んでいたのだが、けっこうニヤケてしまった。「たしかになぁ、うっかり八兵衛って、なんで水戸黄門と一緒に漫遊してるんだ…

人間昆虫記

★★★手塚治虫のピカレスク・マンガ。手塚の自伝的な作品なのかと思って手にとったのだが、全然違った…1970年に連載されたものだというが、ところどころに「アサー」だの「三島の切腹」だの「私は昭和22年生まれ…」だのという言葉があることから時代を感じさ…

新選組

★★★★このところ手塚治虫を再読しているのだが、安心して読めていい。もちろん、水戸黄門じゃないのだから読者をドキドキさせ、意外な世界に連れて行くことこそが読書体験ではないか、などという正論を吐くこともできるのだが、それはそれとして、構造がきち…

ボクの手塚治虫

★★★★★矢口高雄が手塚に捧げたマンガ。釣りがキライというより、釣りの楽しみも苦しみも知らない自分にとって「釣りキチ三平(あ、これは今、差別用語なのか?」は敬して遠ざけていた本であった。したがって本書はあまり期待もせずに読み始めたものだが、これ…

MW

★★★★手塚治虫が1976〜78に「ビッグコミック」に連載したピカレスク・マンガ。沖縄近海の沖ノ真船島に隠されていた毒ガスから始まる物語。筋書きがちょっとマンガっぽくて、あまり嵌れなかったけれど、面白いとは思った。神父というのはどうもゴルゴ13をパ…

新暗行御史

★★★★★尹仁完・作、梁慶一・画という韓国人コンビによるマンガ。暗行御史(アメンオサ)という韓国に実在した官吏が、各地を旅しながら不正や疑惑を暴いていくという物語。半裸体のスーパーウーマンの山道や三枚目の房子と供に、魔力をも用いて放浪するという…

手塚治虫物語

★★★★伴俊男による手塚治虫の60年を漫画にしたもの。手塚がマンガとアニメに注いだ情熱というようなものは十二分に感じることができた。本当に、天才というか、奇人というか… すごい働きぶりだと思う。ただ劇画やスポコン漫画に対する対抗心や、嫉妬心・猜…

グールドを聴きながら

★★★★吉野朔実が2000年前後に描いた短篇を集めたもの。基本的に少女マンガなのだが、いわゆるラブコメでは終わっていない。とてもクレバーな作家だと思う。が、短篇が多かったためもあろうが、もうちょっと奥行きが欲しいと思う。日常のリアルなディテールを…

パリパリ伝説

★★★★★かわかみじゅんこによる旅行エッセイマンガ。BLも描いていたけれど、けっこう正統な少女マンガ家であるかわかみじゅんこのフランスを中心とした旅行のエッセイ。そう思うと、はいはい、パリに行ってオシャレなカフェでクロワッサン食べて、カフェオレ…

シグルイ

★★★★南條範夫・作、山口貴由・画による残酷マンガ。これも「このマンガがすごい 2007 オトコ編」で知った作品だが、なんともヒドイ。エロというかグロというか両方というか… そもそも山口の画風が好きになれないのだが、山口が描こうとしている世界はわかる…

ピースオブケイク

★★★★★ジョージ朝倉のマンガを最初に読んだのは「溺れるナイフ」。絵は荒削りな感じだけれど、「こどものおもちゃ」のような話だな、と思った。そして「ピースオブケイク」だが、これはずいぶん大人向けのマンガである。 大人というのは、単に性の描写がある…

さんさん録

★★★★★こうの史代による中編マンガ。言うなれば現代版の西岸良平。交通事故により妻を亡くした参平は、妻の残したノートを頼りに息子夫婦の家で主夫としての生活を始める。あまりカワイイとも言えない孫(これがいい)やアツアツとも言い難い息子夫婦と生活を…

ドロヘドロ

★★★林田球による近未来魔法社会マンガ。私は「アキラ」を同時代に読んで、わからないと思った。しかし「アキラ」をばりばりと読んだ人は、やすやすと「攻殻機動隊」を描いた。ついで、「攻殻機動隊」やら「エヴァンゲリオン」をばりばりと消化した次の世代が…

デトロイト・メタル・シティ

★★若杉公徳のバンド・マンガ。「このマンガがすごい 2007オトコ編」で1位を取っていたので、期待して読み始めたけれどもガッカリ…たしかに悪魔系ヘビメタバンドのボーカルが、実は渋谷系のポップス好きの気弱な根岸君だった… という設定はおもしろいと…

ダーリンは外国人

★★★★小栗左多里による異文化交流マンガ。何かのメディアの記事で知り、ちょっと読んでみたいなと思っていたが、読んでみると予想通りのものであった。しかし、おもしろさも予想通りであって、「度肝を抜かれる」というものではなかった。トニーの奇癖やら主…

牙人

★★手塚治虫が84年に『少年チャンピォン』に発表していたもの。「牙人」はわずか3回で終了。内容はバンパイヤの別ヴァージョンという感じ。おもしろくないわけではないが、時代にはあっていないと思う(と、同時代にも思っていた)。「プライムローズ」に…

まいあ

★★★有吉京子が「SWAN MAGASINE」に連載しているSWANの続編。わくわくしながら読んだけれど、本当にSWANの続編であった!まだまだ未完成なバレリーナにしかすぎないまいあが、パリ・オペラ座のバレエ学校に入ってバレエの道を邁進するというお話。その後、バ…