マンガばっかり

マンガ批評

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光の海

★★★★★小玉ユキによる人魚もの連作。繊細にして大胆な線。出てくるはずなどない人魚が、いかにもフツウに出て来て、ちょちょっと人生の機微をつつくというマンガ。全体的にハイキーで白っぽいマンガだが、どこかエルジュの『タンタン』を思い出させた。女の子…

レッド

★★★★山本直樹が最末期の赤軍派を描いたマンガ。ただ、どうにも絶賛はしかねる。浅間山荘事件をわけがわからないながらに見ていた者としては、ようやくマンガにも描かれるようになったのだなという実感があり、また、細かなディテールも描き漏らすまいとして…

ハチワンダイバー

★★★★★柴田ヨクサルがヤングジャンプに連載中の将棋マンガ。「このマンガがすごい2008」のオトコ編で1位を取ったばかり。将棋のことなどわからなくても読める将棋マンガとして、あるいは文字の大きさやレイアウトが斬新なマンガだとばかり評され、いしかわじ…

CIPHER 

★★★成田美名子がNYとLAを舞台にして描いた80年代のマンガ。どこに感情移入して読めばいいのか、連載当時の読者はどこにどのように感情移入していたのか、最後まで分からない作品であった。もちろん双子の美青年が入れ替わりながら俳優として活躍し… と…

花ぶらんこゆれて…

花ぶらんこゆれて…★★★★太刀掛秀子が、おとめちっく路線の代表的存在として「りぼん」に発表したマンガ。読み切りではなく、必ずしも甘甘でないところがこの人の特徴だとされているようだが、その通りのものであったと思う。後半になると、おいおいそこで心臓…

このマンガを読め! 2008

★★★★フリースタイル社によるマンガガイド本。宝島社の方ばかりを読んでいて、今回、初めてこの本を通読したけれど、どうもこっちが元祖らしい。アンケート結果は妥当なところだとは思うけれど、アンケート対象が51人というのは少なすぎる!そして順位の付…

このマンガがすごい! 2008

★★★★宝島社のマンガ年鑑。「マンガばっかり」というタイトルには反するけど、まぁ、いいでしょ。今年は男女あわせて1冊になった。売れていないのだろうか?いろんなベストものがある中で、私にはこの本が一番信頼がおける気がしている。それにしても、やは…

夢のアトサキ

★★★★やまむらはじめによる大学の美術部(たぶん)を描いたマンガ。小さい女の子・都緒里先輩が出て来たり、わけありっぽい年長の瑞希さん等々と、ハチクロじゃんかぁ、と、もしかしたら言われてしまうかも知れないマンガ。ただ、これはハチクロともちがうし…

群青学舎

★★★入江亜季の短編(連作)マンガ。今時の絵の人だと思う。男とも女とも取れる名前の人だが、読んでみて、あぁ、同人誌出身の女性だなと思った。で、wikipediaで調べてみると、そのとおりであった。だからと言って悪いというわけではない。が、主流だのメジ…

極道めし

★★★★土山しげるのB級グルメ・マンガ(というまとめ方は問題なのだけれど)。大晦日の浪花南刑務所で、受刑者たちがおせち料理の具をかけてうまいもの話でのバトルを繰り広げるという物語。「孤独のグルメ」と「すべらない話」、「刑務所の中」が一緒になっ…

こいつら100%伝説

★★★岡田あーみんによる戦国時代の忍者という設定の3人組(+1)が繰り広げるドタバタ・マンガ。期待して通読したのだけれど、いわゆるスラプスティックなギャグ・マンガの域を出ていないと思った。ドタバタがいけないわけではないけれど、ただやりたい放題…

はだしのゲン

★★★★★中沢啓治の名作。今更ながらの通読…広島でも長崎でも原爆資料館に行ったので、原爆のひどさについては、もう十分にわかっていたつもりでいたが、やはり自分の身に起こったことでない限り、わかることなんてないんだなと思った。初めは、ストーリーの展…

アニコン

★★やぶうち優が2006年に描いた作品。アニメがすきなアニのことを好きな妹(兄コン)を主人公にしたラブコメ。おたくをテーマにしたマンガは、できるだけ読むようにしているのだが、これはさすがに絵だけでなく、内容や設定も子どもっぽすぎた。案外、ネット…

ヴィリ

★★★★★山岸涼子が「テレプシコーラ」の休載中に「ダビンチ」に連載したマンガ。もちろんテーマはバレエです。「テレプシコーラ」がバレエ教室の娘たちの物語であったとすると、こちらはもっと母に絞った物語になっている。若者は繊細でみずみずしく、傷つきや…

それでも町は廻っている

★★★★★石黒正数が少年画報社の『ヤングキングアワーズ』という、失礼ながら見たことのない雑誌に連載中の作品。女子高生がメイド喫茶でアルバイト… という、いかにも狙ってる風の設定だが、勘違いの天然少女がバタバタしっぱなしで、萌えもオタクもどこ吹く風…

山へ行く

★★★萩尾望都による「ここではないどこか」というサブタイトルのある短篇集。月刊flowersに2006〜2007にかけて不定期連載されたもの。小説家の生方がある日突然山に行こうとするが、なかなか果たせないという表題作をはじめ、未来を予期してしまう月山タクミ…

きのう何食べた?

★★★★よしながふみの男性誌初連載作品。ゲイ・食・法律というよしながの得意ジャンル3つを重ね合わせた作品。我が道を行っている…ただ、よしながの食に対する哲学(あるいは描写?)には違和感を覚えた。安さの追求と美食の追求は、ほとんどの場合一致しない…

キャプテン翼

★★★★高橋陽一のサッカーマンガ。朝日新聞でマンガが実際のスポーツ与えた影響に関する特集を組んでおり、その中に取り上げられたことから読んでみた。もちろん「キャプツバ」が多くの少年、そして多くの少女(腐のね…)の人気を集めたことは知っていたが、こ…

ジョジョの奇妙な冒険

★★★★荒木飛呂彦の大人気マンガ。つい最近まで連載されていたマンガだが、画風はほとんど1960年代。反時代的というか超時代的というか、それでも思うところを描き続けた荒木は恐るべきだし、それでも好きとなったら肩入れしてしまう読者がいるというところが…

七夕の国

★★★★岩明均のマンガ。閉鎖的な一つの村が守り続けられてきたものが日本全土をひっくり返す… といったストーリー。岩明らしいインテリジェンスと残酷さ、ペーソスを感じることのできる作品であったが、良くも悪くも“娯楽作”という気がした。もちろんマンガを…

ジパング

★★★★★かわぐちかいじがモーニングに連載中のマンガ。かわぐちによる「沈黙の艦隊」は通読したが、「ジパング」も現在出ている巻までは全て読んだ。そろそろエンディングにはいるのだろうが、ここまででまったくダレることもなく、「沈黙の艦隊」に感じたツメ…

妄想少女オタク系

★★★★★紺條夏生(こんじょうなつみ・女性です)による腐女子マンガ。あまりにストレートなタイトル、そしてここにも挙げてある第1巻表紙のいかにもな腐女子像… そんなものから電車男や801ちゃんの便乗本以上のものを期待することができず、ずっと手に取ら…

こどものじかん

★★★私屋カヲルによる萌え系マンガ。小学校3年生の九重りんをはじめとする面々は、わけもなくパンツを見せたり、脱いだり… というお約束マンガ。ただ、そこが女性作家の良心なのか(?)、実はけっこうズバリとホンネを付いたストーリーや設定がなされており…

へうげもの

★★★★山田芳裕が戦国の二流武将、しかし一流の数寄者として今日まで名を知られる古田織部とその周辺を描いたマンガ。人気が高かったのだが、独特の画風からちょっとさけてきたのだが、よくできていると思った…時代考証がどこまで正確なのか知らないが、私はこ…

蛇にピアス

★★★★金原ひとみ・原作、渡辺ぺこ・作画のマンガ。芥川賞受賞作のマンガ化である。原作を読んだことはないのだけれど悪くないと思った。ただ、妙にイマを意識しすぎて、身体改造やらリストカットやらといった風俗に近づきすぎていること、そして主人公のルイ…

不思議な少年

★★山下和美の人気マンガ。「天才柳沢教授の生活」で知られる才媛だが、人気があることも、山下が才媛であることもよ〜くわかった。時空を越えて現れる不思議な少年が、さまざまな人々と出会いながら、人間の不思議さを感じながら旅を続ける…しかし、その高み…

撲殺天使ドクロちゃん

★★★★おかゆまさき原作・桜瀬みつな作画による変テコ漫画。萌え系は興味ないんだよなぁとは思いながらも、一応目を通しておこうと思って読む。あぁ、やっぱりクダラナイ…突然現れたナイスバディの天使は、なぜかバット(エスカリボルグ)で草壁桜くんを撲殺!…

おじゃまさんリュリュ

★★★★大矢ちきの短編集。橋本治の評論にも出て来た人で、なんだろうと思って2007年春に出た文庫を買っておいた。マンガを読む前に、ぴあ編集部で大矢と共にパズルを作っていたという盛田隆二の解説を読んだ。少女マンガにおいて一斉を風靡した大矢は、なぜか…

生徒諸君!

★★★★★庄司陽子による古典的名著。今回通読したのは、教師編のTVドラマ化を記念した1000ページ編集版。新書版24巻のマンガのダイジェスト。はしょったところはあらすじを書いてあるという親切な本であった。通読を終えて思うのは、なんとも立派なマンガで…

らき☆すた

★★美水かがみの4コマ・マンガ。累計200万部ということなので、どれほどのもんかと思って読んでみた。が、ガッカリ。別に萌え系の絵を嫌っているわけではないし、双子の女子高生、関西弁の女教師、メガネっ娘… というキャラ立ち(のみ)の人々が出て来た…