マンガばっかり

マンガ批評

7人のシェイクスピア


★★★★★
ハロルド作石によるシェイクスピア漫画。
球漫画に音楽漫画、次々に成功させつつ、ほとんど間をおかずにこんなものを考えていたのかと思うとビックリする。
自分にはシェイクスピアが有名な劇作家であったという以外にほとんど知識がないので、どの程度まで史実どおりで、どの程度がフィクションなのかはわからないが、そんなことはともかく熱中させられる漫画である。
文学は漫画の面白さに負けた、などと言うつもりはない。
ただ、誰にとっても面白いように漫画を描くことができるなら、小説だって誰にとっても面白いものが書けるはずだと思うのに、妙なエリート意識がこじれて「誰にもわからないものが高級」とでもいうような自己満足の世界に嵌ってしまったのが残念なのだ(わかりやすければいいだろう、とでも言うような気楽すぎる小説もダメだけど!)。
ちょうど『座談会 明治・大正文学史』という本を読んでいる途中なのだが、もちろんこれはこれで興味深い本であるのは事実だとしても、研究者たちの独善性、エリート意識には辟易とさせられてしまい、余計にこんなようなことを思ってしまうことであるよ…(No.673)