マンガばっかり

マンガ批評

太陽の黙示録 第一部


★★★
かわぐちかいじの長編作品第一部。
わりとかわぐち作品は読んでいるつもりだが、物語の始まりの恐ろしいほどのリアル感が、ストーリーの進展と共にだんだんと甘くなっているような気がするのは私だけだろうか。
友情やら肉親同士のきずな、直観、真直ぐに見つめる瞳… このようなものが人間社会に大きく影響しているのはもちろんなのだが、こうしたドラマチックな、浪花節的なことが、いつもいつも、どこででも起っているわけではないと思う。
どんなに泣かれたって切るときは切るものだし、真摯な瞳で訴えられても無視するときは無視する。
あくまでエンターテイメントなのだとしても、その非情さについて、もう少しリアルに、酷薄に切り込んでもいいのではないかと思う。(No.674)