マンガばっかり

マンガ批評

無限の住人


★★★★★
沙村広明によるコミック本全30巻の大作漫画。
アニメ化、映画化もされたようだが、読了して思うのは、うーん、疲れた… ということ。
ただ読んでいるだけなのに、なんだか切ったり切られたりしたような気がする漫画であった。
血仙蟲という寄生虫を体に仕込まれたことから、死ぬことができず、斬られても再生してしまうという能力を身に付けてしまった男・万次と、父母の仇討ちを発願して逸刀流の当主・天津影久を追い回す少女・凛との物語。
万次の不老不死というトンデモ設定の他、異能の剣士たちが現れ、誰が敵で誰が見方なのかがわからなくなる…
そして、敵とか味方とかいうのも、もともと曖昧なもんなんだよなぁ、というのが、この長い物語のテーマだったのだろう。

しかし、それにしてもこの作者が『波よきいてくれ』の作者であるというのは、どうにも解せない。
どちらも他の作風など考えられないというくらいにドップリしたものだけに、こういう方向性の違ったものを短い時間に描けるという頭の構造がスゴイ。
と、書きながら、そういえば、自分も全く方向の違い2作品をおもしろいと言っていることを思えば、それほど驚くべきことではないのかもしれないが…
(No.1005)