マンガばっかり

マンガ批評

4コマ ちびまる子ちゃん


★★
さくらももこが現在連載中の4コマ新聞マンガ。
思ったよりは面白く読めた。
長編マンガのネタはさすがに尽き、エッセイのネタも尽き、雑誌もうまくいかなかったとなって始まったのがこの4コマなのだろうけれど、まだまだしばらくは延命できるだろうなと思った。
ただ、新聞の連載ものとしてはダメだと思う。
面と向かって卑怯者呼ばわりされる藤木、語尾にブーを付け、自ら豚が好きだなどと口走るブー太郎などというキャラクターには、何のリアリティもないし、そんな体温の感じられないキャラクターだけを頼りに4コマを作り続けていても、まる子ファンという世の中でもごく一部の人たちにしかおもしろがられることはないと思う。
例えば吉田戦車のキャラは、そんなやついるわけないと思わせるものではあっても、「いや、もしかしたら人間というのはそういうものかもしれない」という文明批評や社会批評が入っていたが、さくらももこのキャラは子供だましでしかない。
社会的な話題、世の中の風潮というものとも、やはり無縁で、まる子は携帯を持つこともないし、お姉ちゃんがネットオークションで商品を買うということもない。
例えば西岸良平は、徹底的に昭和30年代であることによって、それだけで時代批評になりえたし、かつてのまる子も、70年代に時代を設定していたが故に、逆に現代に対する批評性もあった。
このマンガでは、わずかに季節だけが時代とシンクロしているようであるが、それはまさに俳句である。
つまり、俳句としてのおもしろさくらいは盛り込めていると思うが、それ以上のものは持っていないし、持とうともしていないという意味で、総体的にいえば一人の漫画家の延命のためにのみ意味のあるマンガであったと思う。