マンガばっかり

マンガ批評

おやすみプンプン ふたたび


★★★★
浅野いにおによる人気作品。
まだ連載が始まった頃に「くだらん!」と一刀両断した本。
これを薦める人があまりに多いので、読み直してみた。
前回は1〜3巻あたりを読んだだけであったと思うが、なんと、その次の巻くらいからよくなっていた!
私が特に嫌ったのは、プンプンが夢想する「神様」が、いかにもふざけた調子で空の上から出てきたりする安っぽい斬新さである。
また、いわゆる権威的な存在である教師やら弁護士といった存在が、過度にカリカチュアライズされている“厨二病的”ともいうべき意匠である。
プンプン家族がとても人間とは思えないようなヒヨコ状の生物として描かれているのも、きわめて“厨二病的”な、安っぽい意匠に思えた。
しかし、ちょうど4巻あたりからはそうした読者サービス(?)が遠のいて、プンプンの青臭い、イヤな自意識過剰ぶりが延々と続き、母親もガンで死ぬ… という陰々滅々としたイヤ〜な感じだけが続くことになっている。
しかし、そんな感じでありながらも、さほど読者にイヤ〜な感じをさせることもなく累計二百万部(第10巻発行段階)も売れたというのは、プンプンをヒヨコ状の生物として無機的に描いてきたからであろう。
もし、これが人間の形をしていたりしたら、目も当てられないほどの気持ち悪さを感じたことだろう(みんな身に覚えがあるだけに…)。
マンガというものは、最後まで読まなきゃいけないもんですね!
(No.720)