マンガばっかり

マンガ批評

逢沢りく


★★★★★
ほしよりこ、による中編漫画。
しかし、平仮名名前の作家が4連続してますね、どうでもいいけど。
ほしよりこは『きょうの猫村さん』で有名だが、2015年には本作で第19回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞したとのこと。
主人公のりくというのは、本当に嫌な子だと思うのだが、中高生っていうのは、基本的にあんなもんだろうなぁと思う。
性別は違うし、境遇もちがったけれど、事実、自分もあんなだったなぁ、と思う。
ある人はスポーツで、ある人は勉強で、ある人はリア充で、また友達とつるむことで自分を満たそうとするわけだけれど、どの方面に向かっていたにせよ、結局は自分自身のあり方について悩んだり、切れてみたりグジグジしたりしながら過ごすのだと思う。
この漫画がよかったのは、このツンデレというか、ツンツン少女のりくが、どうやら「心」というものをわかりかけたというところで寸断されているところだと思う。
ふつうなら同調圧力に負けて、みんなでヨカッタネというところまで書いてしまうのだが、そんな風にしなかったのが偉いです!
そう、たぶん、りくは、こんな程度のことで治癒するようなヤツじゃないと思う。
まだまだ十分に嫌な子でありつづけるだろうことを、作者はわかっているから、しかし、一つの転機であることも事実だと思うからこのようなエンディングになったのだと思う。
(No.941)