マンガばっかり

マンガ批評

ベルサイユオブザデッド

★★★★

スエカネクミコによる歴史フィクション。
まだどっちに行くのかとも思えないので正確なコメントはとてもできそうにないのだが、オーストリアからフランスに嫁ぐ途中の アントワネットがゾンビに襲われ、容貌がそっくりの弟がアントワネットの代わりとなる… という漫画。
エリザベスの影武者となる男性を描いた『王国の子』とも通じるが、どちらも女性作家で、こういう恐ろしい世界をたんたんと描くあたり、なかなか男にはこういうリアリズムは描けないなぁ、と思う。
本作については、ただの入れ替わりや双子の間の愛憎問題に終わらず、貴族と民衆、さらに生きる者と死んだ者という対立まであって、なかなか複雑だが、期待する半面、どこまでちゃんと回収できるのか、というあたりは、少し不安でもある。

(No.1071)