マンガばっかり

マンガ批評

チ。 地球の運動について

★★★★

魚豊のマンガ。
寿司屋か魚屋の屋号としか思えないペンネーム(読み方は、ウオトらしい)なのだが、地動説をめぐる信仰と学問の間に生きる人たちを描いたマンガである。
どれくらいの史実、また科学史を踏まえているのかはわからないが、これがマンガ大賞の上位に入るというのは、つくづく日本マンガの深さを思い知らされる。
ただ、信仰と学問的真実の間で苦悩する(つまり命がかかっている)人物たちを描く際に、妙にラノベチックに盛り上げすぎているのは、気にならなくもない。
若い世代には、だからこそウケたのかもしれないが、ここまで盛り上げないと分かってくれないのかな、というのは、少し淋しく感じたりもした。
しかし、原発村やコロナ村の周辺を覗いてみても、別に殺されるというわけでもないだろうに、よくもよくも数多の御用学者やら評論家やらがいるもんだよなぁ、と思わされる。
たとえ御用学者と言われても、俺はその道を貫くぜ、というのなら、或る意味カッコよく、すがすがしかったりもするんだけどねぇ。

(No.1266)