マンガばっかり

マンガ批評

ニュクスの角灯

★★★★★

高浜寛による明治開化期の美術商を扱った中編(全6巻)。
毎回挟まれるエッセイが作者の知性とこだわりを見せ、そうか、なるほど、と思わせるところも面白かったが、なんといっても本編が素晴らしい。
あまり言うとネタバレなのだが持ち主の未来を見通せるという美世、外国人とのハーフである百年(ももとし)、謎の美女ジュディットらをはじめとしたドラマ。
さまざまなマンガのお約束を取り入れながらも、心地よくお約束を裏切り、別の世界にストーリーを持って行くというのも、本当に上手だし、説得力もある。
第24回の手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞というのもさもありなんと思う。

(No.1300)