マンガばっかり

マンガ批評

バクちゃん


★★★

増村十七のゆるSFファンタジー漫画で、宇宙からやってきたバクちゃんが地球でさまざまな人と関わりながら生きていくというもの。
ファンタジーだが、単にファンタジーにとどまっておらず、外国人差別問題などを匂わせたりもしている。
ただ、変に啓蒙的だったり教訓を与える感じではない辺りはよいと思う。
『このマンガがすごい』でも、しばしば取り上げられていたことから名前を知ってはいたが、よい漫画だと思う。
ただ、こうした優しさや配慮というのが、今のゆるみはじめている日本に、だるんと馴染んでしまいそうなあたりが心細い。
「誰かのためのボランティア」というものを否定する気はさらさらないのだが、それが「誰かのために犠牲になれ」にやすやすと転化する例を五万回ほど見せられているからね。
ぜんぜん、この漫画の責任ではないのだけれど!

(No.1319)