マンガばっかり

マンガ批評

ブスなんて言わないで

★★★★

とあるアラ子、のマンガ。
ブスと呼ばれて、高校卒業後は顔を出さずにできる仕事に就いた知子は、或る日、ブスである自分の存在意味を否定する発言をした同級生の美女・梨花が反ルッキズムを訴えている雑誌記事を見て激怒。
殺しに行こうと梨花の前でカッターを振り回すが、ちょうど社員募集中だった梨花の事務所から、まさかの合格通知!
実は梨花自身、美人ということから、ルッキズム社会での生きづらさを感じていた… というストーリー。
なんと言っても、まだ1巻を読んだだけなので、総合的な評価ができる状況ではないが、梨花の事務所には、ブスを売りにしていた元漫才師もいたり、拒食症を克服したプラスサイズモデルが登場したりで、ルッキズムと反ルッキズムの間に活きる現代の女性たちを描こうとしているようで期待が持てる。
ルッキズム批判は当たり前なのだが、しかし、批判している本人が化粧をしたりおめかしをして、イケメンやら美人やらが好きだと公言したりすることも多いわけで、まことにルッキズムの周辺はややこしい。
じゃぁ、あなたはブスが好きなのですか、と問われて「YES」と答えたらいいのかというと、それはそれでブスというルックスにこだわっているわけであり、なかなか快刀乱麻の結論が出せるとは思えない。
ともあれ、この「ややこしい」ということを、誰の眼にも明らかにさせることこそが、今は大事なのではないかという気もする。

(No.1338)