マンガばっかり

マンガ批評

SANDA

★★★

板垣把留が連載しているマンガ。
BEASTARS』で大ブレイクした人だけに、やはりどこか動物と人間の混じった感じの登場人物が多いが、今度はサンタ・クロースの末裔とトナカイたちの出て来る学園バトル漫画。
読んでいて、面白くないことはないのだが、『BEASTARS』が人間と人間のドラマだけでは描くことの出来ないもう一つの対立項である肉食と草食という問題をぶち込んで、個人的にはノーベル文学賞級の成果を出したのではないか、などと思っていたのに比べると、新作は、その最も重要で、最も核となっていたような部分がすっかり抜けて、むしろ枝葉末節であったキャットファイトだけが延々と続いているといった感じのものになっている気がする。
体が大きい肉食獣であるレゴシが、どうやって生きていくのが誠実なのかについて、必死に悩み、戦っているのに比べると、とても校長などという座についていられるはずもない存在が校長になって、生徒も親も、そんな学校に子ども送り出していたりなど、根幹の部分でのロジックや心理が作り込まれていないんじゃないか、という印象がぬぐえなかった。

(No.1366)