マンガばっかり

マンガ批評

20世紀少年

20世紀少年(16)
★★★★★
泣く子も黙る浦沢直樹のマンガ。
昨日、ようやく21巻まで読み終わったので書くことにする。

浦沢直樹のマンガは読んでいて本当に面白いしうまいなと思う。
しかし、かゆいところに手が届きすぎるとも思う。
徹底的にマーケティングに基づいてマンガを描いている感じがして、「あなた自身が本当に描きたいマンガは何なの?」という思いがこみあげくるのである。
しかし、「20世紀少年」に限っては、ただ単に作者のノスタルジーが入っているというだけでなく、変なこだわりやら、ウケそうにないキャラ… までもがきちんと出てきて、今まで封印してきた自分の表現したい世界をようやく開放したという気がする。
もちろんうますぎるストーリーテリング、人物設定などに臭みはあるものの、よくがんばっているじゃないの、と思うのである。
浦沢は手塚治虫へのオマージュである『PLUTO』というものも描いているのだが、少なくとも彼はそういう昭和ノスタルジアの中で自己表現のキッカケを掴んだような気がする。
よかったよかった。