マンガばっかり

マンガ批評

ラブやん

ラブやん(1)
★★★
田丸浩史による「げんしけん」よりも女の子には見せられないオタク漫画。
まぁ、だんだんおたくもネタになっていき、おたくと健康少女の凸凹コンビによるギャグになっていっているけれど…
しかし、読んでいて思ったのはプロレタリア文学喧しい時代、労働者たちは労働者の厳しい勤務実態を告発し、来たるべき明るい時代に向かっての闘争を呼びかけるという文学や映画に熱中したかということは全然ないという事実だ。
おたくたちに向かっておたくの現状、その脱出方法を説いたところでおもしろくもなんともない。
「おたく先生」のように、それを行くところまで行かせてしまって弾けさせるというのは一つの手だけれども、少なくとも彼らは現実のリアリティなど見たくもないんだと思う。
そして見たいのは、もちろんエンターテイメントだ(進歩ねぇ)。
その意味でこのマンガはおたくの現実に歩み寄りながら、これもおたくマンガのパターンの一つである理想的な同居人を登場させていて、戦略としては納得ができる。
一つの新しさはあったといえると思うのだ。
だけどもそれはマンガとしての価値というよりも商品としての価値というものだけれどね…