マンガばっかり

マンガ批評

わにとかげぎす


★★★★
古谷実が現在連載しているマンガ。
もう、こういう無精ヒゲを生やしたようなダメ男の話というのも、定番化しつつある。
いや、定番にしたのはなんと言っても古谷の力だと思うので、それは素直にエライと思う。
ただ、どの話にも、必ずダメ主人公を支えてくれる都合のいい美人さんが出てくるのはどうしたものだろう。
もちろんマンガが「商売」である限り、お客様へのサービスは必要だと思う。
こうしたマンガが定番化するのも「今に見てろよ、オレだっていつかきっと…」という読者たちが支えているのだから、美人さんの1人や2人は出しておいても安いくらいかもしれない。
日経に渡辺淳一が連載すると、景気がよくなると言う。
「化身」がバブル、「失楽園」がITバブル、で、今は「愛ルケ」だ。
こんな恋愛がしたいということで、サラリーマンたちが頑張るんだと言われているけれど、案外、ホントだと思う。
が、しかし、読者に元気を与えられたらいい作品、というわけではない。
主人公を愛してしまう美人さんを出すのはいいけれど、今後の古谷に求めたいのは、しっかりと根拠のある愛を描けということだ。
ダメに見える主人公をなぜ愛してしまうのか、「うーん、これは惚れるよなぁ」と読者を納得させられる「愛」を描いて欲しいと思う。
もちろん、主人公の方にも「お、これは美人だ」というだけで惚れさせるのではなく、ちゃんと「愛」を描いて欲しい。
男同士の関係についてはちゃんと描けるのになぁ…