マンガばっかり

マンガ批評

グリーンヒル


★★★
古谷実の初期作品。
おそらくは3巻で連載打ち切りになったのだろう。
ギャグもの最後のこの作品は、wikipediaによると「ギャグ路線を維持するも”めんどくさい”という誘惑に押され一見人生を無駄におくる主人公の姿がより明確なメッセージとともに描かれている。ここでは、極端な資本主義に走りはじめたリアルな日本社会に生きる若者達の心理を鮮やかにかつ多面的に映し出している。また、メッセージとギャグとの相乗効果によるストーリーの膨らみ効果を非常に強く発揮した作品でもある。」とまとめられているようなもので、後半になると、たしかにリーダーの孤独さが無責任なギャグではなく、悲喜劇という感じで描かれるようになっている。
ただ、前回の「わにとかげぎす」で書いたようなことは、どうも世間一般でも囁かれているようで、またしてもwikimediaの引用によれば、「社会的に不適合な所謂ダメ人間な主人公に美形の女性が恋し、周りからの羨望や自己嫌悪、それを維持する恒常的な怠惰の中でのみ登場人物が立ち回りをする定型的な表現に落ち着くパターンが見られる為、ファンの間でもやや食傷気味に感じられているという意見は無視出来ない。本来のギャグ漫画へ回帰して欲しいと主張するファンも多い。」とのことである(このwikipediaの内容は秀逸!)。
もっとも古谷にギャグに戻りたいという気持ちは一切ないと思うし、実際、描くことはできないと思うのだが、シリアスもののマンネリも指摘されているなら、ここらで原作ありの歴史物などを描いてみるのがいいように思う(絵柄は全然違うけれども「バカボンド」みたいな…)。