マンガばっかり

マンガ批評

G戦場ヘヴンズドア


★★
日本橋ヨヲコによる熱くてテンションの高いマンガ家根性もの。
が、あざとくてあまり好きにはなれない。
新人はどぎついくらいに個性を主張しておかないとデビューを飾れないものだというのは、よく思うことだが、この「テンションの高さ」は、どうも間違った方向に働いているように思えてならない。
自分の父親は人気マンガ家だけれど、その作品が自分はキライでたまらない。
おそらくそうしたことを思っている人も多いだろう。
しかし、その本を買おうとした見も知らない高校生を本屋で見かけたからといって「うぜぇ」だの言って、平積みにされた本を蹴飛ばす… といったことをするものだろうか?
惚れた男を守りたいからといって、意中の男を侮辱した男の机をたたき割り、麻酔薬を打とうとする女などいるだろうか?
「いるのだ!」と言ってしまえば、すぐさまいることにできるのがマンガなのだが、そういう世界観の元でこの世の中のマンガ道を描くことなどできるはずがない。
テンションの高さを、こういう極端な技法によってしか演出できないのだとしたら情けないと思う。
もっとも一球を投げるたびに目から炎を出したりする「巨人の星」も、連載当初はこんな批判を浴びたのかもしれないけれど…