マンガばっかり

マンガ批評

メイプル戦記


★★
川原泉による「甲子園の空に笑え」の続編にあたる野球マンガ
今度は女性のみのプロ野球団がセリーグで優勝してしまうというもの。
右バッターであるはずの仁科(妻)が左打席に入っているというミスを見つけたけれど、そのほかはさすがにカーラ教授だけあって、よく調べて丁寧に描かれているとは思った。
が、「巨人の星」以来、よくも悪くも野球マンガを読み続けてきた者として思うのは、ふざけんな、ということである。
広岡監督がしょーもないギャグをかましているのは、まぁ、かわいいものだ。
ただ、男性と女性には肉体差があり、それを乗り越えるだけの筋力か体力か知力かがあるかというと、全くそういうことは描かれていない。
ドラフト1位指名をされたことがあるという瑠璃子ちゃん(オカマ)が160キロの速球を投げるというのが唯一説得力があるだけで、たいした練習をしているようにも見えない女性たちがプロ野球選手の投げた硬球を打ち返してホームランになるほど野球は甘くない!
野球を知らない少女漫画の読者たちに野球の魅力を教える本… と言えば言えるのかもしれないけれど、こういう入門本だったら、野球なんて知らなくてもいいと思う。
時代的な限界もあったのかもしれないけれど、「大きく振りかぶって」を女性作家が描いていることを思うと、とてもまともに読めたものではない。
一緒に収録されている「ヴァンデミエール−葡萄月の反動」がしっかり描かれた佳作であることを思うと、尚更、メイプルのふにゃふにゃさ加減にがっかりさせられるのだ…