マンガばっかり

マンガ批評

大東京トイボックス


★★★★★
うめ(小沢高広・妹尾朝子)によるゲーム業界を舞台にしたマンガ。
ゲームがでてくるから面白いのではなくて、仕事が描かれているから面白いのだと思う。
秋葉原あたりで萌えだのオタクだのと言っている若造がゲームを作っている… と、なんとなく世の中は思っているのかも知れないが、「仕事」であるからには、大会社と中小企業の差があり、開発費と人件費の板挟みがあり、「売れるゲーム」を作るのか、「面白いゲーム」を作るのかといった葛藤もあり…
つまり、おそらくは世界中で「仕事」というものをやっている人たちが皆、多かれ少なかれ感じているような現実が、ひりひりと、そしてクールに描かれている。
スーパーマリオ」でゲーム史が止まったままの人間にも面白く読めるマンガであった。
時に人情譚、時にスポコン、またキメゴマやキメゼリフも適度に混ぜられ、メリハリの効いた、しかし、それだけで読ませない秀作だと思う。
ゲーム業界への就職を反対されている人がサラリーマンのお父さんに読ませるといいんじゃないかな、というマンガであった。