マンガばっかり

マンガ批評

ナチュン


★★★★
都留泰作による海洋SF。
日本には海洋文学がない… と言われているが、「坂の上の雲」以来の大作か?
著者は名古屋大から京大の博士課程を修了し、現在は富山大学人文学部准教授だという。
生物学や人類学を学んだ人だけにそのあたりのリアルさとアンリアルさのバランス、そして、学者くさくないところもいいと思う。
宮古島を舞台にして世界観や虚構を取り入れる具合もいい。
まだまだ序章に過ぎないのだろうが、中国、香港が出てきて、その上にバチカンまで出てくると、ちょっとスケールが大きすぎてマンガとして制御ができなくなるのではないかと心配(作者にはできても、一般の読者にはついていけなくなる)。
伊藤剛によれば「このマンガのスタイルは反時代的なまでに古い」(http://www.nttpub.co.jp/webnttpub/human/013/5.html)とのことだけれど、それ自体は特に気にならないものの、コマによって人体のバランスが乱れていたりするのが気にならなくもないな…