マンガばっかり

マンガ批評

犬夜叉


★★★★★
高橋留美子の大長編戦国バトル漫画。
いいトシして、犬夜叉なんて読んでんじゃねぇよ、と自分で突っ込みたくなるけれど、56巻を通読してみて思うのは、極めて納得のできるマンガだったということである。
高橋留美子を長く読んでいる人間としては、「あ、響子さん!」(かごめ)、「あ、テンちゃん!」(七宝)」… と思うキャラも多いが、ラブコメやバトル、冒険、妖怪… というのも、これまでの高橋作品を集大成した感があった。
ストーリーは、つまりは悪いヤツをやっつけるために、犬夜叉がどんどん強くなりながらも、仲間たちと団結して戦う… というもので、こうやって書いていると自分でもイヤになるくらいジャンプ的なマンガである。
しかし、悪いヤツをやっつけるはずの話が、突然、妖怪とも何の関係もないような人助けで終わる章があったり、戦国時代で戦いの日々を送る女子中学生のかごめが、現代に戻ってきて学校のテストを受けるという章があったりで、飽きが来ないのだ。
「ドラゴン・ボール」がヤレヤレという気をさせながらも、それでもやっぱり読ませてしまう画力や構成力があったのとは、また別の意味で、読ませる大長編であったと思う。
「友情、努力、勝利」というジャンプ的なテーマも、女性作家だからか人間関係の微妙なアヤを含めて描いていて(こんなことを書くと女性学の人に怒られるかもしれないけれど)、臭くなりすぎることがなく、エンディングも「え゛!」と思わせながらも、「まぁ、そういうこともあるかもなぁ」と思わせるものであったと思う。