マンガばっかり

マンガ批評

SKET DANCE


★★★★★
篠原健太による学園キャラ漫画。
学園の「助っ人」をするというクラブを中心にした漫画で、普通なら私が一番苦手なジャンルなのだけれど、本作に限っては5つ星!
絵もうまいし、ギャグのセンスもいい。
ちょっとマニアックすぎるくらいところ(浪漫ちゃんとかジェネシスとか)が、特によかったと思う!
あまり目立たないかとも思うが、ストーリー展開やコマ割りなども、とてもよく考えられていた。
時に挟み込まれるシリアスな章も、なるほどと思わせる内容で、ただ単に努力・友情・勝利を連呼するだけの漫画ではなく納得のいくものであった。
自分の作品について、それぞれの回の終わりに制作秘話を書いているセルフライナーノーツも面白い試みで、漫画家を目指している人などには、とても参考になるのではないかと思った。
しかし、今回は17巻まで通読したのだが、残念なことに17巻だけが個人的には全く面白いものには思えなかった。
完全なキャラ漫画になっていたからである。
16巻までにも、ツンデレやら、イケメンやら、お嬢やら、オタクやら、たくさんのキャラが登場していた。
しかし、キャラだけで遊ぶことはなく、「こんなキャラがいたら実際はどんなことになるだろうか?」という思考実験、つまりスケット団の部室に駆け込む様々なタイプの「キャラ」が、3人のリアリティの伴った「人間」をどのように動かすかというリアリティが読みどころであったと思う。
しかし、17巻では近年の「ちびまる子ちゃん」や「リボーン」などと同じで、この世界にいるはずのないキャラ人間たちが、この世界では持ちようのない感情を持ちながら暴れているという空虚なものになっているような気がした。
このままでは、これからどんどん人間離れ・実社会離れが進み、どんどん登場キャラの設定が細かくなって、数だけが増えていくといったインフレ状態に陥ることになりそうだ。
こちらの方が作るのもずっと楽だし、いつまで作り続けてもいけるとは思う。
が、その時に消費されるだけで、何度も読み直してもらえるような、新しい読者を開拓できるようなものにはならないと思う。
まぁ、純粋に商売として割り切って考えれば、この路線の方がずっと安定しているのかもしれないが、なんとか軌道修正してもらいたいものだと思う。