マンガばっかり

マンガ批評

R−中学生


★★
ゴトウユキコによる中学生マンガ。
押見修造の「惡の華」と同じく、中学生の発達途上中の性意識を描いたマンガとして一定の評価はできる。
が、ストーリーが不自然な気がする。
例えば、文武両道のイケテル中学生が、ふと、「自分でオトコとしてはダメなんじゃないか?」と思うことはあるかもしれない。
しかし、そこで「バカオトコの道」を学ぶために自虐的な行為をするようになるとはあまり思えない(程度問題だけど)。
じいちゃんっ娘が妙にサバイバル能力をつけている最終話とかも、人間がわかりやすく描かれすぎている。
ちばてつや賞の大賞を受賞したという冒頭の「赫色少年の素晴らしき日々」のように、自分が何をやっているのか、何をやったらいいのかもわからずに暴走してしまう「中2的」な緊張した現実を描くことから降りて、登場人物をわかりやすいキャラにさせてしまったところに破綻が生じているのだと思う。
「わかりやすい」というのはいいことなのだけれど、ここにあるのは「わかるわけのないものを単純化しすぎて、きちんとわかろうと努力することなく、わかったような気がしてしまって描いている」ということだ。
奇しくも最終話の最初で登場人物をそれぞれの属性と共に紹介するコマがあるが、あそこでこのマンガは終わってしまっているのではないだろうか?
このままだとたぶんどんどん違ったタイプの変態(?)が現れて、ドタバタと続くだけではないかという悪い予感もするのである。
まぁ、そっちの方が売れるっていう話もあるのだけれど…