マンガばっかり

マンガ批評

ひらけ駒!


★★★★★
南Q太による母子将棋マンガ。
将棋マンガ… といえば、もうすでにデジャヴュ感が漂うかもしれない。
それを南Q太が描くと言っても、あぁ、たしかにそういう展開もあったかもなぁとしか思わない。
はい、かく言う自分がそうでした。
人に説明するためには、たしかに「少年・菊地宝を中心にした熱血将棋マンガ」と言うしかないけれど、これは想像をはるかに超えたよい作品であった!
宝は母親との二人暮らし。
小学生でありながらも、なんとなくプロの棋士をめざし、でも、やっぱり無理かもしれないなと諦めたり、でもやっぱりと思ってみたりして将棋に励む。
そんな宝にママが付き添い、いつしかママも将棋を指すようになり、勝つこともあれば、負けたり、負けたり…
そこにライバルが現われたり、かと思うと去っていき、そこに「43歳だけど俺もプロになれるかな」と思うおじさんが闖入したり、ドSの美人棋士が現われたり… という展開。
しかし、様々なキャラが登場する今時のキャラマンガではない。
王道バトルもの、というのでもない。
日常のあるある、ゆるゆるマンガでもない。
しかし、キャラとバトルと日常ものの全てを兼ね備えたマンガだといえば、そう言えないこともない! つまり最強?!
似ているものとしては、野球マンガの世界に「おおきく振りかぶって」が現われて、キャラもの、スポーツものの味わいを残しながら、野球少年を見守る母親たちの交流や、メンタルトレーニングの重要性を説くコーチが現われて、いままで考えてもみなかったリアリティを持ち込んだようなものだろうか…
(No.812)