マンガばっかり

マンガ批評

シャーリー


★★★★★
森薫のメイド漫画。
「エマ」で一世を風靡した森薫が商業誌デビュー前に描いていたというもの。
それから少しずつ描きためながら2003年に第1巻(ただし1巻とは書いていない)、そして10年以上たった2014年になって第2巻ができたらしい。
大きなストーリーはない。
ロンドンのカフェの女店主ベネットと13歳のメイド・シャーリーの日常を描いたもの。
森は『乙嫁語り』のような大マンガを連載中だが、それとは別に生まれてきた小さなモチーフを生かしながら、こういう本をだしているのだろう。
創作者として最良の仕事の仕方だと思う。
時代設定には気を遣う作者だが、もちろんこのマンガも専門家からすれば、あそこはおかしい、ここはおかしいという指摘がたくさん出てくるのだとは思うが、まぁ、それはそれとして、日本はもちろん、本国のイギリスあたりに出しても喜んで読んでもらえるような好作品集であると思う。
ことに第2巻の末尾の「昔のこと」のオチなどは、なかなかいいと思うな。
(No.887)