★★★★
雨瀬シオリの倫理マンガ。
雨瀬といえば、ラグビーマンガ「All OUT!!」で有名だが、こんな漫画も描きはじめたようだ。
たしかに倫理マンガは、これまでありそうでなかったものだと思う。
あまり出来の良いとは思えない学校の倫理教師・高柳が生徒たちと心を通わせていくというもの。
まぁ、やさぐれた生徒たちが、この手の先生とそんなに打ち解けるはずないよな、と思うし、１クラスの人数がめちゃ少ないのに、こんなに劇的な人が集まるかよ、という、ひどく現実的な疑問を思わないではない。
しかし、それにしても高柳の言うように「学ばなくても将来困ることはほぼない学問」ではありながら、かくも世の中に役に立つ可能性はあるよな、と思わせる、いい意味での教養マンガになり得ていると思う。
作者の叔母が自殺し、彼女が自殺を決意するまでにさまざまな倫理の本を読んでノートに書いていたことを頭に思い浮かべながら描いているのだという。
誠にマジメなマンガであり、マジメなエンターテイメントであると思う。
（No.1122）
