マンガばっかり

マンガ批評

竹光侍

★★★★

松本大洋(原作・永福一成)による歴史もの。
鉄コン筋クリート』や『ピンポン』などの人気マンガの作者だが、実はこの人のマンガがいいと思ったことはない…
ただ、これは悪くないなと思う。
この人のマンガが好きになれなかったのは、「どうだ、〇〇してやったぜ!」という狙った感じが、どうにも鼻につくからだ。
もちろん、この『竹光侍』だって、狙わなければとてもできるようなものではない。
しかし、これはもう全身全霊をかけて狙っている感じがあり、しかもそれが空回りしていない気がする。
線は極端に単純化しながら、江戸の街の様子はきちっと描こうという初心に帰っての挑戦は、なかなかできるものではないと思う。
は、それって、つまりアートということか!
原作者は特に歴史ものを専門とする人ではなく、松本のアシスタントを務めたこともあるという人らしく、それにしてはとてもしっくりくる感じであった。
それよりも、今、wikipediaを見て驚いたのは松本大洋工藤直子の息子だったこと!
まぁ、今ごろ言うかよ、ということなのかもしれないけれど。

(No.1219)