マンガばっかり

マンガ批評

作りたい女と食べたい女

★★★★

ゆざきさかおみ、によるマンガ。
とにかく食事を作ることが好きだが、そんなに食べることはできないという女子が、マンションの2室向こうに住んでいる大食女子に食事を振舞うという話。
赤の他人であった2人が、徐々に心理的にも接近するのは予想の範囲内だが、2巻になると作りたい女こと野本さんが、自身の春日さんへの気持ちを同性愛ではないかと自覚するところにまで行っている。
LGBTQという言葉が一般的になったが、これまでは人に言えなかったのに言いやすくなったという人も少なくないだろうとは思うが、若い世代などを見ていると、この数年の間にLGBTQ側の人間になったという人も少なくないようだ。
一時代前のBLでは、同性愛であることを自覚すること、それを相手に告白することは死ぬほどの決意が必要だったが、今は、ネットで自分の心理を考察し「あ、そうなんだ!」と自覚し、行動していく例が増えているようだ。
それがイケナイだなとと自民党の某議員のようなことは思わないが、世の中は、まだこのシフトチェンジに気付いていない気がする。
そういう時代だからこそ受け入れられているのだろう。
韓国の少子化は女性たちの反乱なのだ、という言説を目にしたが、日本の非婚化晩婚化も、もちろん同じところはあるかもしれないが、韓国以上にLGBTQ化が、今、若い世代を中心に進んでおり、こういうマンガの存在、そしてテレビドラマ化による一般化が、ますます少子化につながるのだと思う。
もちろん、繰り返しになるが、だからイケナイなどというのではなく、「そういうことだよな!」と思う。
そして、これはこのマンガを描いた作者がヤバイ思想を蔓延させた元凶だとか、そういうことではなく、流行るべくしてはやっているだけなのだと思う。
あと5年ほど経った頃、ようやく人々はこの変化に気付くことになるのだろうけれど、遅いよ!

(No.1332)