マンガばっかり

マンガ批評

光が死んだ夏

★★★★★

モクモクれん、による不思議な味わいの作品。
親友同士の光と佳紀… しかし佳紀は目の前にいる光が、実は光ではない何者かにすり替わっていることに気付いてしまう…
光は山の中で遭難死しており、目の前にいる光のような存在は、そのデータだけを再生した魔物で自分でもそれを認めている。
その魔物はこれまでにも何人かを殺めているようなのだが、佳紀とはなんとか仲のよい関係でいたいと願い、佳紀の方も、魔物が魔物であることはわかりながら、もう光が戻ってくることもないのであれば、このウソ関係を延長できるかもしれない、と、大きく状況を変化させる決断もできていない…
このマンガがすごい! 2023』のオトコ編で1位となったマンガだが、うん、そうだよな、と思う。
ただのSFであり、オカルトであり、エンタメであるに過ぎないのだが、この2023年の統一教会自民党世界の中で、コロナ禍の中で、ウソだということはわかっていながら、自分の破滅にも繋がり、自分の属する集団も破滅に繋がることがわかっているので、敢えて、今、ここで関係を断ち切ることができず、ズルズルと蟻地獄の深みにはまっている状況にあてはまっているようにも感じられる。
とても「オカルトエンタメ!」と、割り切って読みとおせない恐ろしさがある。

(No.1335)