マンガばっかり

マンガ批評

天幕のジャドゥーガル

★★★★★

トマトスープによるモンゴル帝国に拉致された奴隷少女の物語。
このマンガがすごい! 2023』のオンナ編のトップにあった作品。
どこから見つけてきた話なのかは分からないが、まぁ、この時代ってこうだっただろうな、と思う。
バカバカしいほどのことで人が殺され、また殺し、それでも平然としていたような時代だ…
今に比べると、人権などは鳥の羽のように軽い時代だったと思うのだが、でも、忘れてはいけないのが、自分の愛する者が殺されることについて、「まぁ、1人くらい死ぬよね」などと、決して軽々しく思っていなかったことだ。
今だって、5人兄弟のうち1人が不慮の事故などで亡くなると、他人は「まぁ、あと4人いるのは不幸中の幸いだよね」などと思ったりもするのだが、実際、そんな風に本当に思う人はまずいない(と思う)。
それと同じように、いくら人権の「じ」もないような時代だったからといって、「時代が時代なのでしょうがない」とスッキリとしていた人はいないと思う。
歴史(あるいは古典)を見るには、感情に流されないドライな眼を持つ必要と、ウェットだったりホットだったりという眼の両方を持っていないといけないと思う。

(No.1348)