★★★★
坂月さかな、のマンガ。
『このマンガがすごい！ 2023』のオンナ編５位ということから読んでみた。
パイコミックスにてＷＥＢ連載中なのだというが、『このマンガがすごい』で取り上げられることがなければ目に入らなかっただろう。
星から星を旅する少年、ここにはもちろん『星の王子様』が下敷きになっているのだろうが、やさしうにこやかでありながらも謎を秘め、どこか冷淡に人と人を裁いている風でもある「３０３」が主人公。
ＳＦファンタジーなのだが、そのＳＦ度が、ファンタジー度が、心地よい程度で和まされる。
廃止が決まった夜行鉄道の運転士である少女との触れ合いを描いた「おふとんモノレール」などは、突っ込みだせばきりがないほどにまで甘々な世界観であり、設定であるとは思うが、稲垣足穂の『一千一秒物語』や宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』のような硬質で透明なファンタジーで好感を持った。
こういう作品について、きちんと「５位」という位置を提供できる日本のマンガ風土は、本当に素晴らしいし、ありがたいものだと思う。
（No.1350）
