マンガばっかり

マンガ批評

緑の歌

★★★★★

高妍(1996年台北市生まれ)という女性漫画家による中編。
細野晴臣の楽曲に惹かれ、台湾の日常から憧れの日本に想いを馳せる大学生・緑の物語。
村上春樹が「猫を棄てる」のイラストレーターとして抜擢したことでも知られる画力の持ち主だが、それだけでなく、台湾のサブカル少女とサブカル少年がどんな風に日々を過ごし、どうやって夢を追いかけ、それを諦めるか。
そして人を恋する気持ちをどうやって育み、どう表現するかも丁寧に追いかけていて、今年最高のマンガを読んだ気がしている。
こんな風に書くと、細野晴臣や日本サブカルの大きな影響について日本スゴイとばかりにノスタルジーにふけっているように思われるかもしれないが、残念ながらそういうことではない。
その言い方で言えば、もはや日本独自と思われていたマンガ文化が他国でしっかりと成長してしまったことを恐れた方がいいのかもしれない…
そんな中途半端なナショナリズムもその反対も無視して、いいものに対して最大限に評価し、応援したい想いしかない。

(No.1353)