マンガばっかり

マンガ批評

39歳の免許合宿

★★★★★

ごめたん、による実話マンガ。
吉本の芸人・五明拓弥(ごめたん)が友人のミュージシャンimaiと共に某地方都市の合宿免許に参加するという話。
自分が免許を取った時も、「あぁ、世の中にクルマというのはたくさん走っているけれど、それはみんな修了検定卒業検定をクリアできた人なんだなぁ」と、神々しくも思えたものだが、あぁ、今もそうなんだなぁ、と思った。
ことに、何も教えもせず、ただ舌打ちするだけの教官、話は面白いが判断基準がわからない教官… そんなやつらは、この少子化のご時世、サービス業でもある自動車教習所からすっかり消えたのだとばかり思っていたが、生き延びていたようなのだ!
しかも、飯もマズイのだと?!
ほんのちょっとしたミスで合格しない悲しみ、誰のせいにもできず、ただただ自分の不運や判断力ミスを呪うしかないあの日々…
「30代最後の年、もう一度青春がやってきた」と帯にあったが、まぁ、その言葉に嘘はないな、と思う。
青春というのは、別に異性とイチャイチャワイワイ楽しく過ごすことではなく、自分自身に向き合い、友人と慰め合い(あるいは内心で自分の方が上だとホッとしたり)、ということをしながら前に向かって歩いて行くしかない日々を過ごすということで、ほんとに青春を生きたんだろうな、と思えた。
芸人による漫画やエッセイ本が、近年、よく刊行し、話題になっているが、少なくとも本書が名著であることは確かである。

ただ、最近、免許を取ったばかりの大学生に聞いてみると「そんなことはないわぁ」だそうである…

(No.1356)