マンガばっかり

マンガ批評

エンジェル・トランペット

★★★★

赤石路代による長編マンガ。
大震災の後、実験中だったウィルスが拡散し、それを吸った子どもたちが死亡、もしくは脳内の或る働きが異常によくなるという現象が起こり、政府は異能の子どもたちを隔離し、事件をなかったことにしようとする… という設定。
東日本大震災と、その後の政府のさまざまな隠蔽工作などから思いついたストーリーなのだろう。
東日本大震災直後の連載なので、コロナの騒動については知らなかったはずなのだが、そのあたりの政治もの、現代ものとしても読めるマンガであった。
月刊flowers」連載なので、少し年齢層の高い読者を想定しているのだろうが、それにしては政府や警察などのシステムがうすっぺらく、この程度のものであれば、異能の存在ではなくても簡単に転覆できそうである。
また、絵も80年代あたりの感じを漂わせており、これについては最後まで違和感が残ってしまった。
調べてみると作者は昭和34年生まれの63歳だとのことで、浦和一女から武蔵野美大に進学して漫画家になり、現在まで活動していることを思えば、なんとも立派なもの。
また、それだけに立派な作品を描いていると思う。

(No.1370)