マンガばっかり

マンガ批評

プライム・ローズ

プライム・ローズ ★初版★(手塚治虫漫画全集MT348〜351) 全4巻 手塚治虫/作
★★★
手塚治虫が1982年〜1983年にかけて『少年チャンピオン』に連載したもの。
通読して面白くないわけではなかったが、なんとも悲惨である。
1980年代にこんなマンガが少年たちにウケたとはとうてい思えないからだ。
文庫版巻末の解説を4冊全てを女性が書き、しかもオンタイムで読んだ人は誰もいないと告白していることからも十分に予想されることだが…
そして「下品で変に扇情的なキャラクターはいくらもあるが、手塚氏のそれは、そういった凡百のものとは一線を画し、いやそんなのははるか下に見て、キュートな女の子を造形し毎回送り出してくれる(中平まみ)」などと書かれてしまっている。
つまり、何よりも「凡百の女性」を求めている少年読者たちにとって、全く魅力のないキャラクターなのだ。
タイトルのロゴマークも古い!
ほとんどロストワールドのノリである。
こういうレトロ趣味を楽しむ余裕は、この時代の『チャンピオン』を読んでいる読者にはなかったと思う。
世は『キャッツ・アイ』なのに…