マンガばっかり

マンガ批評

河よりも長くゆるやかに

河よりも長くゆるやかに
★★★
福生の男子校を舞台にした吉田秋生による1983年のマンガ。               「吉田秋生って女だったよなぁ」と何度も思わされるくらいに男の生態をうまく描いたマンガだと思う。
女性小説家の小説というのは、男は理想化されすぎているかその逆かで、いいバランスのものがないとかねがね思っているのだけれど、吉田秋生にはそういう違和感がない(もちろん細かく突っ込める要素もあるけれど)。
女性というのはタマにしか現れない主人公の彼女と姉ちゃんだけ…
そんな話をよくも延々と書けたものだと思う。
そして、手元にある文庫は1997年の第13刷だというから、こういうものがかなり読まれていたんだな、と今更ながらに思う。
おそらくこの頃に「男だけの世界」という地盤が作られていたんでしょうね。

それにしても吉田秋生の存在が忘れられているのがちと悲しい…