マンガばっかり

マンガ批評

ヤサシイワタシ


★★★★
ひぐちアサが2001年から「アフタヌーン」で連載した大学リアル漫画。
舞台になっているのは著者が在学していた法政大学(の写真部)。
ひぐちは漫画研究会に所属してたので、クラブの中身までモデルになっているとは思えないが、クラブハウスの風景など、法政大学出身者にだけわかるようなネタがあるのだと思う。
内容は「おおきく振りかぶって」の明るさはなく、徹底して貧乏で、じめじめして、残酷で、根拠のない自信だけがみなぎる大学生らしいリアルさに満ちた好篇となっている。
極端な自己主張をしながら、誰かに認めて貰いたくてうずうずしているファザコン女子大生の弥恵に翻弄される純情大学生・芹生の物語。
しかし、2巻までとは言え、よくぞここまでリアルな純文学風、純漫画が描けたなぁと思う。
大絶賛されることは今後もないだろうと思うが、ことに共学の大学にいたことのある人間には、<痛い共感>を示しながら読むことができるのではないかと思う。
柴田翔の「されど我らが日々」や木尾士目の「四年生」などの諸作を思わせますねぇ…